『「読ませる!」文章術−あなたのビジネスチャンスが10倍広がる』で上司と先輩を思い出す

「文章は気持ちで書くもんだ」
というのがわたしの第一印象で、「文章はテクニックで書ける」という著者の言葉に反発した。

新入社員のころ、上司にとある文章術の本をすすめられた。日本語の文法を意識すると読みやすい文章が書ける、ということだった。その話を聞いていた先輩は上司が立ち去ったあと、その手の本を読むと型にはまった文章しか書けなくなるという。
どちらももっともだと思ったものの、先輩のコメントのかっこよさが気に入ったわたしは、その本を読まず、「型にはめる」タイプの文章読本は読まなくなった。

当然、この本はまさにその類だ。それでも、自分の思考が偏らないため、しっかりと反論するためにと自分を説得して手に入れた。

序章 センスなんかいらない、文章はテクニックで書け!
第1章 思わず惹きつけられる文章は「キャッチ力」が違う!
第2章 着眼点を変えれば、すべてが「使えるネタ」になる!
第3章 たった7つの型で、どんな文章も自由自在に書ける!
第4章 ズバリ、これが「読ませる!」文章の4大原則だ!
第5章 「ブラッシュアップ」で、あなたの文章が生まれ変わる!
第6章 一目瞭然!違いが際立つ「読ませる!」リライト実例集
(『「読ませる!」文章術−あなたのビジネスチャンスが10倍広がる』目次から)

最初は荒さがしをしていた。いかにもありがちな構成だ、使い古された表現だ、などと嫌がらせをしている気分だった。
それでも少しのテクニックで読みやすくなる実例をいくつもみせられると止まらない。一気に読み終えた。タイトルの通り、「読ませる!」力が満載された本だった。

ようやっと新入社員のころの二人の言葉の意味がわかった。どちらも正しかったのだ。

  1. 「型」を知る
  2. 書きやすくなる
  3. 書き続ける
  4. 自分のスタイルを見出す

という文章術の成長モデルがあり、上司はまず書きやすいように、先輩は自分のスタイルを確立できるように、という意図があったのだろう。そのことがわからず、わたしは結構遠回りをした。

そして自分がどうしてこの本を買ったか、本音を自覚できた。ブログを書くほど感じる文章の未熟さをどうにかしたかった。結局のところ、文章でもポッドキャストでも、伝わらなければ意味をもたないからだ。

さて、この本の文章の構成の考え方、読ませるノウハウは、ポッドキャスターにも参考になる。なかでも、第2章のネタを見つける視点、第4章の4大原則のふたつが実用性も高く、そこだけでもこの本を買ってよかった。伝える力は鍛えられると思えるようになった。

「読ませる!」文章術―あなたのビジネスチャンスが10倍広がる「読ませる!」文章術―あなたのビジネスチャンスが10倍広がる
沼田 裕

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