インサイトってなんだろう(その1)

インサイト」という言葉が気になって二冊の本を読みました。

まず一冊目はタイトルそのまま「インサイト」、副題が「消費者が思わず動く、心のホットボタン」。

インサイトとは、ひと言でいえば消費者の「ホンネ」。それは、消費者に消費行動を起こさせる「心のホット・ボタン」だ。
ここを押されると、消費者は思わず行動を起こす。場合によっては、習慣さえも変える。
だから、マーケティング活動によってその「ホット・ボタン」を押すことができれば、売り上げを大きく伸ばすことができる。
インサイト 消費者が思わず動く、心のホットボタン」のはじめにから

というのが冒頭の定義です。

前半はさまざまな切り口で、インサイトの定義を説明します。

いままでが「人は論理的にアタマで考えて商品を買う」という考え方だったとしたら、インサイトは「直感や気持ちで商品を買う」というスタンスを取る。また、マーケティングが、「失敗しないための無難な結論」を導くのに対し、インサイトは、「状況を打開するための大胆な結論」を導き出す。(P6)
本来は「消費者インサイト」という言葉だが、この本では短く「インサイト」と呼ぶことにする。直訳すると「洞察」だが、わかりやすくいえば消費者の「ホンネ」である。(P16)
インサイトはまた、チームや関係者をワクワクさせ、勇気付ける旗印となる。だれもが「消費者はそう思っていたのか」という発見を共有でき、消費者が動くホット・ボタンが見つかれば、画期的な施策のアイデアが具体的に湧いてくるからだ。そこが、理屈だけでつくられた、「正しいかもしれないけど、それで売れるのか。具体的にはどうすればいいのか」という疑問が湧いてくるマーケティング戦略との大きな違いである。(P22)
いずれにしても、インサイトの考え方は、細分化(グループ化)されすぎた消費者を大きくとらえ直そうというものだ。平均値を出すのではなく、もっと本質的な共通点を見つけ出そうという考え方だ。(P26)
それに対してインサイトでは、人は気持ちや感情といった「ココロ」で判断し行動する、というとらえ方をする。製品を選ぶときも直感や好き嫌いといった感情で選ぶ、と考える。だからプロポジション(Proposition:消費者を口説く、ブランドや製品からの提案)を大切にする。(P34)

で、中盤からは、インサイトの探り方、活用事例(かみそりのジレット、アイスクリームのハーゲンダッツ)と続きます。

で、どう活用するかが、こちらの関係図です。

ポジショニング(パーセプション・ゴール):どう思ってほしいのか
↑↓
プロポジション(消費者への提案):そう思ってもらうために、どうするか
↑↓
インサイト(消費者が持っている気持ち):消費者のどういう気持ちを活用できるか
(P214)

ターゲティングにはさまざまな方法がありますが、そのひとつとして消費者心理からのアプローチは有効でしょう。
インサイトに関する数少ない書籍として、まずはこの一冊からどうぞ。

インサイトインサイト
桶谷 功

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